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対面での業務が欠かせない学校法人において粘り強くテレワークを推進。~職員の柔軟な働き方の実現および生産性向上を目指して~

大阪府
学校法人常翔学園

POINT

  • 対面での業務が前提となっていた学校法人で、2019年より3部署でテレワークのトライアルをスタート。

  • 伝統的な仕事方法への固執や労務管理の面で不安の声も上がるが、職員を対象に研修会を繰り返し実施することで意識を改革。

  • テレワークが浸透したことで、働き方改革の意識をより浸透させ、残業をしないことが当たり前の環境を整備。

  • 2021年度からは押印業務のオンライン化や見積もりの電子化などによって、テレワークをさらに推進。

新しいアイデアの創出や生産性の向上を目的にテレワーク推進。約70%の職員がテレワークを申請

学校には、学生・生徒が通学し、教員は授業を実施、職員は窓口などで学生たちの事務手続きや相談に応じる必要があるため、対面でのやり取りがどうしても必要になります。そのため、学校・大学を運営する学校法人は、テレワークに不向きな職場といえるでしょう。そんな学校法人でも、テレワークに積極的に取り組む団体があります。大阪府に本拠地を設ける常翔学園です。

職員の柔軟な働き方と生産性向上を目的に、複数部署でトライアル実施を行いながら、テレワーク導入を推進した。

常翔学園は、大阪工業大学、摂南大学、広島国際大学、常翔学園中学校・高等学校、常翔啓光学園中学校・高等学校を運営する学校法人。全学を通じて約2万4000人の学生・生徒が在籍し、職員約530人(嘱託職員約120人を含む)が働いています。そのうちの過半数を超える約350人の職員が、テレワークで業務を進める申請をしているそうです。常翔学園は、どのようにテレワークを推し進めたのでしょうか。

テレワークを導入する理由は何か。その根本の理念について、働き方改革推進室担当部長の赤壁賢治氏は「働き方改革」であると語ります。

赤壁氏:「場所を選ばずに業務に従事できる、あるいは通勤時間やストレスを軽減すること。それが本学におけるテレワーク導入を決めた理由です。職員の柔軟な働き方を実現し、新しい知見を獲得できる時間を作ることで、新しいアイデアの創出や生産性向上の促進ができるはずだと考えました」

研修会を繰り返すことでテレワークへの理解促進と業務フローの改善を続ける

常翔学園がテレワークの導入を本格的に検討し始めたのは、2019年7月の「テレワーク・デイズ2019」がきっかけでした。「テレワーク・デイズ2019」への参画にあたり、テレワークの実証を検討。各部署にヒアリングをした結果、働き方改革推進室、総務部、ICT連携機構の3部署で実験的にテレワークを実施。

テレワークの定着により、出勤する職員が減った事務室の様子。学園全体の情報部門であるICT連携機構が、教職員のITサポートを行いテレワークへの円滑な移行を支援した。

その後、2019年8月にテレワークに関する意識調査を二度にわたって実施。一般職員や管理職員などの階層別に、業務のテレワーク適性をヒアリングしました。そこでは、テレワークに関して、歓迎の声ばかりが上がったわけではありません。赤壁賢治氏が、当時の状況を振り返ります。

赤壁氏:「管理職からは、労務管理や評価制度の面で、理解を得られにくい状況にありました。特に、学生や教員に対する窓口を主な業務とする部署では、『対面による面談』『出勤ありきの勤務体制』に固執する職員も少なくありませんでした」

対面で仕事をすることを前提としてきた学校組織では、テレワークへの理解が進まない状況がありました。その状況を打破するために、働き方改革推進室は地道に研修会を繰り返すことでテレワークへの理解を進めます。

赤壁氏:「2019年夏、職員を8班に分けて、働き方改革推進室と人事課が連携し、職員を対象に研修会を実施しました。働き方改革を実現すべく、業務をどのように効率化したら良いか、業務のオンライン化、効率化ツールの使用方法などの講習を行ったのです。そこにはテレワークへの理解推進が含まれていました。どのような業務がテレワークに向いているかを討議し、また、成功事例の共有をして、テレワークへの理解を深めていきました」

さらに、2019年12月に部課長レベルの管理職を集めて、テレワークを含めた業務改善の進捗状況の確認や成功事例の共有などを行う研修会を開催。テレワークに向けた業務のフローの整備や意識改革を推し進めます。テレワークを始めとする業務改革の促進で残業が減っている部署があれば、ヒアリングをしてそのノウハウをイントラネットで共有してきました。そして、2020年3月、前述の3部署に加えて、法人部門では広報室や人事課、総務課、財務課、大学では企画課、入試課、国際交流センターなど、多数の部署でテレワークを開始します。 その結果、各部署でテレワークに適する業務や適正化が必要な業務の選別ができ、さらに、業務工程の簡素化や効率化を実現。テレワークの推進へと弾みをつけました。

その矢先、世の中の新型コロナウイルス感染拡大に時期は重なり、翌月の2020年4月には緊急事態宣言が発出。常翔学園では、テレワークの対象を全部署へと拡大しました。

テレワークの導入で業務が効率化、学生への対応もオンライン対応可能に

テレワークの導入後、赤壁氏は生産性の向上を実感したと語ります。その効果が顕著に表れたのが、会議にかかる時間の短縮化。討議に集中して会議を進めることで、時間を有効活用できるようになり、同時にペーパレス化推進にも繋がったそうです。

ほとんどの会議や教授会をオンラインで実施。事前に議題を整理してからオンライン会議を行うことで3~4割程度時間を削減でき、空いた時間を有効に活用できている。

赤壁氏:「これまで2時間かかることもあった会議ですが、ほぼすべて1時間以内に収まるようになりました。また、人事面談などのクローズドな打ち合わせは、意識的にオンラインで行うようになっています。時間や場所を選ばずに面談の場を設けられるのがメリットです。
以前は残業が“有る”ことが当たり前でしたが、テレワークが定着しつつある現在は各部署の業務効率化が進み、残業をせずに効率良く働くことが当たり前の雰囲気になったと感じています」

さらに、サテライトオフィスの開設や、各地の高校や予備校に学校説明を行う入試課の職員へのタブレットの導入で働く場所や時間を柔軟化。名簿作成や給与計算を支援するRPAの導入による生産性の向上など、常翔学園では様々な働き方改革を行っています。

学生への対応もオンライン化が進んでいます。2020年4月の新型コロナウイルス感染症の感染拡大時には、大阪工業大学をはじめとした大学で、新入生向けのガイダンスをオンラインで実施。入学を希望する受験生へのセミナーも、「Microsoft Teams」をはじめとしたコミュニケーションツールを利用して実施しています。さらに、就職指導においては、オンラインであることがむしろメリットになっていると赤壁氏は言います。

赤壁氏:「キャリアセンターでは、面接の作法や自己アピールの方法などを学生に指導しています。現在は新型コロナウイルス感染症の影響によって、オンラインでの指導の形をとっていますが、結果的に学生のためになりました。企業の採用面接がオンラインへと移行しているため、その対策として有効だからです」

今後の課題も残されています。1922年に関西工学専修学校を創立し、2022年に創立100周年を迎える伝統のある常翔学園では、伝統的に紙ベースで業務が進められてきました。文書主義に基づく書類ありきの作業が、テレワークへの障壁のひとつとなっています。その改善が急務であると赤壁氏は意気込みます。

赤壁氏:「学校法人では、備品の購入や建物の修繕費などの見積もり金額が億単位になることも多いため、電子データ化することへの理解が進みませんでした。2021年4月をメドに、自宅から見積もりを電子データで徴収、確認して稟議に回すことができるシステムの導入を目標としています。また、押印が必要な書類に関しても、2022年度にはオンラインで決裁できるように、ペーパーレス・オンライン化を推し進めていきます」

テレワークが進まない学校法人のなかで、先陣を切って業務のオンライン化を進める常翔学園。その結果、残業時間の削減や、ストレスの緩和、育児・介護の両立など、確実にワークライフバランスが改善されてきたと胸を張ります。最後に、そんな赤壁氏が考えるテレワーク推進の秘訣を聞きました。

赤壁氏:「テレワークの導入にあたって、本学の卒業生が在籍する製薬会社やIT企業にヒアリングをしました。その結果わかったのは先進的な企業でも、テレワークに対して旧時代的な固定観念で、反対する人はいるということ。だから、まずは誰かが旗を振って、テレワークの導入へと踏み切ることが大事だと思います。その結果、改善すべきところを軌道修正しつつ、テレワークができる業務を増やしていく。そうやって、意識を改革することが大事だと考えています」

研修会の実施と業務フローの改善を繰り返すことでテレワークを可能にした常翔学園の取組は、他の学校法人の参考になるでしょう。

学校法人常翔学園

大阪府
所在地 大阪府
業種 教育、学習支援業
企業規模 1000~4999名
URL http://www.josho.ac.jp/

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