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走りながら課題を見つけ、軌道修正。押印・署名の電子化を3ヶ月でスピード導入。ニューノーマル時代への試みとは

東京都
株式会社 日本HP

POINT

  • 2007年より上限週2日、部署ごとにテレワーク導入。導入部門が増えるにつれて社員の意識も変化。

  • ハンコ出社対策として電子署名化に踏み切る。海外で導入済みのツールをもとに、社員の意見も取り入れ、約3ヶ月で制度化。

  • 健康不安や業務環境改善に対し、各種オンラインセミナーやモニター、椅子の購入費用補助を実施。

  • 現在も7割以上がフル在宅を継続し、コロナ終息後も在宅勤務を希望。

2007年より部署単位でテレワークを導入。導入した部署の成功が次々に波及

シリコンバレーの元祖ベンチャー企業として知られ、現在は世界170カ国でPC・プリンティング事業を展開するHP。その革新性は製品やサービスに留まらず、働き方にも及びます。

取締役 人事・総務本部長 羽鳥信一氏
法務・コンプライアンス本部 本部長 白石弘美氏

「人間は男女を問わず、良い仕事、創造的な仕事をやりたいと思っていて、ふさわしい環境に置かれれば、誰でもそうするようになる」 創業者の言葉が示すように、HPには自主的かつ多様な働き方を推進するカルチャーが根付いています。日本HPでも2001年に「フリーアドレス」を導入。そして、2007年には現在のテレワークにあたる「フレックスワークプレイス」を他社に先駆けて導入しました。IT企業としてテクノロジーの発達に伴うテレワーク導入は必然の流れだったとも言えますが、その背景には「生産性の向上」と「多様な人材の確保」という二つの目的がありました。

羽鳥氏:「当時は都内に分散するオフィス間の移動や長時間通勤による生産性の低下が課題となっていました。テレワーク導入で生産性が向上し、心身のストレスが軽減されてワークライフバランスが実現すれば、子育て世代をはじめとする多様な人材の確保にもつながると考えたのです」

導入にあたってはトライアルに同意した部署で、かつ直接部下を管理するマネージャーがグループの管理に問題ないと判断した10以上の部署の300名以上を対象に、トータルで約6か月間実施。アンケート調査によって懸念事項の検証を行いました。当初はコミュニケーション量の低下などが懸念されていましたが、アンケート結果からは、テレワークの障害となるものはほとんどないことが判明。そこでまずは週2日を上限として、部署ごとに導入を開始しました。

羽鳥氏:「部署によってテレワークとの相性は異なるため、導入に関してはマネージャーの判断に委ねました。一部には『部下管理やチームワークには対面が必須』といったマネジメントスタイルに対する強い“想い”があったり、テレワークを利用しにくい同調圧力のようなものもあり、その意識が変わっていくには、ある程度時間がかかりました。ただ、実際にテレワークがうまくいっている部署を近くで見ていると興味が湧いてくるもので、部署から部署へ、横展開で広がっていきました」

法務省等が公表した「押印についてのQ&A」を機に、押印・署名の電子化を推進

テレワーク導入部門が増えるにつれて社員の意識も変わっていき、2011年の東日本大震災や2015年の分社化を経て、テレワークが定着。2016年には上限が週4日となり、2018年には非正社員にも拡充されました。そして2020年2月、コロナ対策として新たなBCP(事業継続計画)が発令されると、全社員が原則在宅勤務となりました。

HPがグローバルで導入している「Adobe Sign」を用いて、2020年11月より電子署名を本格導入。社員の声を随時反映させ、使いやすく改善。

羽鳥氏:「社員全員がテレワーク経験済みのため、スムーズに移行することができました。ただ、当社にとっても長期間に及ぶ全社一斉テレワークは初めての経験。全員が在宅になったことで、逆に出社が必要な業務が洗い出されました」

その一つが「ハンコ業務」です。日本HPでは、4月初めに押印業務の一時停止を関係各所に通知していましたが、緊急事態宣言解除後に取引先が会社へ戻り始めると堰を切ったように押印業務が押し寄せる事態に。
そこで法務部の白石氏が中心となり「押印・署名の電子化プロジェクト」を立ち上げました。6月に法務省等から公表された「押印についてのQ&A」をきっかけに7月から検討をはじめ、10月に社内規程を改定、11月1日から本格的に電子署名制度を導入しました。

白石氏:「HPは、海外では以前から『Adobe Sign』という電子署名ツールを使用していたのですが、日本は『ハンコ文化』があるため他国に比べて利用が進んでいませんでした。しかし、法務省等のQ&Aの電子署名に関する部分を読んで、電子署名に対する“呪縛”が一気に解けました。我々も使い方に慣れておらず手探りの状態でしたが、『とにかく走りながら軌道修正していこう』ということになりました。
まずは社員に電子署名ツールに慣れてもらうため、約3週間で24回のオンラインワークショップを集中開催。Teamsに専用のチャネルも作り、社員から幅広くフィードバックを集め、ツールの使い方や社内規程の改善点の検討を継続しています。これまでに、部署内での署名捺印に関する承認権限の委譲プロセスの明確化と『Adobe Sign』を利用した委任状の発行や、署名捺印記録台帳作成の簡略化などが実施されました。
電子署名を導入していない取引先も多数あり、一企業の努力だけでは難しい部分もありますが、我々のできるところから改善を進めていきたいです」

健康プログラムや家具購入費用補助で、在宅勤務のストレスを軽減

ハンコ業務以外にも、長期化する在宅勤務の課題として浮き彫りになったのが「健康面の不安」「自宅における業務環境の改善」です。日本HPでは会社・労働組合双方で不定期のアンケート調査を実施していますが、2020年3月には約30%の社員が主に運動不足などで「健康面が不安」と回答。その対策としてストレッチの紹介や産業医によるコロナ解説・ストレスマネジメントといったウェルネスプログラムを実施したところ、半年後のアンケートでは10%の改善が見られました。オンラインプログラムとしては他にも、社員エンゲージメントに関するセミナー、情報セキュリティなどをテーマにしたトレーニングも実施し、社員同士での活発な意見交換が行われています。 「自宅における業務環境の改善」においては、従来のノートPC、スマートフォン、ヘッドセットなどの機器類の提供に加え、オフィスチェアとモニターといった家具購入の費用補助を実施しました。

オンラインウェルネスプログラムの一環として、産業医によるセミナーを実施。この日はコロナウイルスの感染予防について詳しく解説。

羽鳥氏:「私自身も早速、オフィスチェアとモニターを買い足しました。それまではダイニングチェアを使っていたので、在宅勤務がぐっと快適になりましたね。会社と自宅の業務環境をできる限り近づけることが、テレワークの質を高めるポイントになると思います」

2020年7月のオフィス再開後も、70%以上がフル在宅を継続。出社しないと業務が滞る場合は「その業務が必要な時に必要な時間だけ出社」を許可しています。ハードウェアを用いた検証作業が必要な開発部門の出社率も60%程度に抑え、その他の部署の出社率は10%以下で継続しています。
出社しても業務スタイルは在宅時とほとんど変わりません。オフィスはフリーアドレスなのでそれぞれが好きな席で仕事をし、資料はペーパーレス、ミーティングもオンラインが基本です。Web会議は現在「Zoom」をメインに「Teams」を併用しており、人事システムは「Workday」、文書・情報共有は「SharePoint」を活用しています。

羽鳥氏:「自社ツールでなくても、便利なものは積極的に取り入れようというカルチャーがあるので、柔軟に様々なITツールを導入し、使いながら最適なものを選んで統合していくという流れになっています。特に若い世代はどんなツールも巧みに使いこなすので、テレワーク推進の大きな力になりますね」

電子署名、オンラインセミナー、ITツールの活用、家具購入費用補助など、課題解決に向けてアクションをとり続けた結果、アンケート調査では92%が「テレワークが十分機能している、どちらかというと機能している」と回答。約75%の社員が「コロナ終息後も週3〜4日、または全日の在宅勤務を希望」しており、仕事効率も「維持または向上している」という回答が85%を占めました。

羽鳥氏:「特に子育て世代の満足度は高いですね。今回のコロナ禍では、緊急事態宣言に伴う休園で子どもを預けられず、抱っこしながらプレゼンや会議に臨む社員もいました。以前であれば眉を顰めたかもしれませんが、やむを得ない状況の中では実はたいした問題でないことに気付きました。もちろん会議の目的や、場面によっては難しいかもしれませんがそのことだけで生産性を落とすかというとそうではありません。テレワークは優秀な人材の確保だけでなく、社員の意識改革にも寄与し、多様な働き方を受け入れる土壌をつくると実感しています」

15年に及ぶ経験から得たさまざまなノウハウを他社にシェアする取り組みも行ない、国内にテレワークの裾野を広げている日本HP。テレワーク導入成功の鍵について羽鳥氏は「一部の部署からでもスタートして、実際に経験していくことが大切」と語ります。

羽鳥氏:「新規導入に際してはさまざまな不安が先立ちますが、実際にやって検証しないことにはわかりません。やってみるとデメリットよりもメリットの方がはるかに大きいと気がつくはずです。一方で、『対面で集まる価値』というのも変わらずにある。『集まる』といっても毎日顔を合わせて一緒にいる必要はなくて、『必要な時に必要な人が集まってチームを組む』というスタイルがコロナ後も定着していくと予測しています。法制度の動向も見ながら、今後はオフィスや勤務地のあり方も見直していきたいと思っています」

走りながら課題を見つけ、軌道修正していくというスピーディでフレキシブルな姿勢こそ、テレワーク成功の鍵と言えるかもしれません。ニューノーマル時代の多様な働き方を見据えて、日本HPはこれからも先進的な試みを続けていきます。

株式会社 日本HP

東京都
所在地 東京都
業種 製造業
URL http://www.hp.com/jp

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