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社長自らが社内ラジオを定期発信してコミュニケーション活性化。テレワーク成功に必要な3つのカギとは

東京都
株式会社ラック

POINT

  • 全従業員を対象にしたトライアルの実施で、テレワーク導入のあらゆる課題を洗い出し。

  • 2年間でICT環境や社内規定等を順次整備。テレワーク勤務を希望し、一定の条件をクリアすれば誰でも利用可能とした。

  • 2020年春に約9割の従業員がほぼ在宅勤務へ移行。社長ラジオの開始で従業員間コミュニケーションを活性化。

  • 半年経過後も週2~3日出社を約6割の従業員が継続中。“3つの行動”が継続成功のカギ。

全社横断型プロジェクト「働き方改革推進室」を設置。まずは様々な課題を洗い出す

1986年に創業した株式会社ラックは、まだ今のような情報社会到来前の1995年、業界に先駆けて情報セキュリティ事業を立ち上げました。今では国内トップレベルのセキュリティ技術を有し、その技術や知見を活かした独自のサービスを提供する「ITトータルソリューション企業」として飛躍を続けています。

左 人事部 働き方改革推進室 向井亮一氏
右 人事部 副部長 兼 働き方改革推進室長 山中聡氏

ラックでは2020年3月末、全従業員を対象に在宅勤務への移行を決定。4月末時点では約9割の従業員の移行を実現しました。さらにそれから半年経過後も、週2~3日出社によるテレワークを持続している従業員の割合は約6割を維持。
なぜこれほど短期間で全従業員のスムーズなテレワーク移行を可能にし、なおかつ今も維持できるのか?その原点となったのが2016年、当時の政府が設置した「働き方改革実現会議」です。日本の企業文化、日本人のライフスタイル、日本の働き方に対する考え方そのものを改革する理念にラックは賛同し、2017年4月に社員の幸せと会社の成長の両立を目指して「働き方改革推進室」を新設しました。全社横断型のプロジェクトとして毎年、全部門から計20~30名の従業員をメンバーに迎え入れ、全従業員の働き方に関する調査から着手。
その中で、その後のテレワーク全面導入につながる大きな転機となったのが、同年7月に参加した総務省のキャンペーン「テレワーク・デイ(現テレワーク・デイズ)」です。働き方改革推進室設立当初から推進してきた、人事部副部長兼働き方改革推進室長の山中聡氏によると、全従業員を対象に1週間のテレワークに参加してもらうことによって、テレワーク導入の課題を洗い出すことが目的だったとのこと。

山中氏:「実際に参加した従業員はわずか200名程度でしたが、『上司の許可が得られない』『セキュリティ上、社外に持ち出せる業務が限られている』『通信環境が未整備で不便』『社内での押印やFAXでのやり取りなどがあり難しい』といったように、職種やポジションによって様々な課題が浮き彫りになりました。この結果を受けて、今後どのような施策を実施すべきかの方向性が見えてきたことは、大きな成果でした」

またテレワーク・デイのほかにも「LAC週間~Learn And aCt 働き方を考え試行する週間~」というイベント期間を年4回設定。テレワークをテーマに、従業員主導による業務効率向上施策を実施することによって、テレワーク導入に関する検討を定期的に実施。合わせて、こうした取り組みに参加した従業員からアンケートを収集することによって、より細かな課題を洗い出していきました。

2年間でインフラ環境を整備。全従業員テレワークを許可。導入のための準備を進める

2017年度に実施した様々な取り組みによって洗い出された、テレワーク導入に関する課題は大きく二つ。一つは、全社でテレワークを実施するために必要な通信環境やセキュリティ対策などのITインフラ環境が不十分であること。もう一つは、テレワークに関する明確な社内規定が整備されておらず、また従業員一人ひとりがテレワークを実施することの意義や目的が深く浸透していなかったこと。つまり、「ハード面」と「ソフト面」の両面で大きな課題が浮かび上がりました。
そこで2018年~19年度にかけて、課題解決のための具体的な取り組みを実施。まずハード面においては、全従業員がストレスなく社外で業務ができるように、膨大な通信量にも耐えうるVPN環境を整備したり、持ち運びが便利なコンパクトで軽量なノートPCの支給、さらにWeb会議システムやビジネスチャットツールの浸透を実現できました。
また重要なセキュリティ対策においても、セキュリティ診断サービスの先駆者として1995年から事業を展開してきた強みを生かして、従業員向けノートPCだけでなく、同社が運営するセキュリティ監視センターさえも、リモートアクセスツールを導入したことによってテレワーク化を実現。
このようにわずか2年で実現できた背景には、同社がITトータルソリューション企業としてすでに十分なICT環境が整備されていたことに加えて、経営陣が積極的にテレワーク導入を推進したことも大きいと、山中氏は語ります。

2020年4月末時点でのテレワーク(週2~3日出社での在宅勤務)移行率。コーポレート部門では契約書類への押印業務や郵送物の仕分けなどの対応が必要なことから、交代で出勤する体制を取っていることからほぼ100%に近い状態で、全体でも約9割の従業員がテレワークに移行している。

山中氏:「テレワーク導入は従業員の効率的な働き方を促進するだけではなく、効果的なBCP対策として有効であることを経営陣は深く認識しています。大規模な災害が発生した場合、当社のお客様に対しても多大なご迷惑をおかけしてしまいかねないことから、予算を投入して最適なテレワーク導入環境を整備できました」

そしてもう一つのソフト面での課題に対しては、まずテレワークに関する社内規定を制定。中でも注目したいのが「全従業員を対象に、テレワークを許可する」前提で規定が新たに設けられたことです。これによりフルタイムによるテレワークも可能となりました。
また従業員一人ひとりのテレワークに対する意識づけに関しては、これまで実施した「テレワーク・デイ」「LAC週間」等によって、多くの従業員が「現実的に自分でもテレワークができそうだ」と認識できたそうです。

テレワーク最大の課題「社内間コミュニケーション」活性化へ、社長が社内ラジオを開始

2019年度までにテレワーク導入の整備はおおよそ完了したわけですが、それでも多くの従業員がテレワーク導入に踏み切れない状況がしばらく続きました。

山中氏:「多くの従業員はこれまでの取り組みを通じてテレワークの良さを頭ではわかっているのですが、お客様先に常駐するエンジニアなど、どうしても物理的にテレワーク導入が困難な部門やポジションがあります。そのため、このままでは部門間でテレワーク導入に対する“不公平感”が生まれてしまうことに対する危惧が、テレワーク導入を躊躇させる一因になっていました」

そこで、導入が困難とされるお客様先に常駐するエンジニア従業員に対して「客先常駐支援金の支給」「お客様に対して、ラック従業員のテレワーク導入に対するご理解の取り付け」「ジョブローテーションの導入で、テレワークを導入しやすい他部門への異動を容易にする」といった取り組みを実施。現在も継続して取り組みながら、社内の不公平感をできる限り排除しようとしています。

そして2020年3月、新型コロナウイルスという予期せぬ事態をきっかけに全社でテレワークを実施したわけですが、これまで3年間に及ぶ入念なテレワーク導入準備によって、短期間でスムーズに導入できたのです。

西本社長による社内ラジオ『いつろうpresents★お昼のひととき★』の1シーン。毎回約200名が参加する従業員に対して、時にまじめに、時に笑顔で様々な話題について語る。

しかし導入後、新たな問題が顕著になってきました。それは従業員同士のコミュニケーションの希薄化。毎日出社すれば、近くの席の人や他部署の人とも気軽に話したり、相談できますが、テレワークだとそれが難しく、チャットに書き込んだり電話するにしても、誰かと気さくに話すための心理的なハードルは、リアルなコミュニケーションと比べてどうしても高くなってしまいます。
そこで2020年5月からスタートしたのが、社長による社内ラジオ。2~3週に1回のランチタイム時、オンライン上で社長が本音で話すおしゃべりを聞きたい従業員が自由に参加できます。発言はしなくてOK、チャットには聞いている従業員からの突っ込みや共感がダイレクトに寄せられる、という緩いコミュニケーションの場を作ったのです。山中氏と同じ働き方改革推進室の向井亮一氏は、社長の社内ラジオの成果についてこのように語ります。

向井氏:「毎回200名ほどの従業員が参加するなど、毎回盛り上がっています。特にフリーテーマで従業員が匿名で社長に聞いてみたいことを投稿し、社長が放送で読み上げる『おたよりコーナー』が大人気。時にまじめに、時に大笑いしながら社長の本音が聞けるので、自然と従業員の寂しさや不安が軽減していく効果があるようです」

「全業務の棚卸」「経営陣の強い意志」「全社横断型プロジェクトで推進」が成功のカギ

新型コロナウイルスによる緊急避難的な措置として全社に導入されたテレワークは半年余り経過した今も、先述した通り高い実施割合を維持しています。そこで最近、在宅勤務中の従業員を対象に、コミュニケーションや生産性の変化に関するアンケートを実施しました。 その結果、まずコミュニケーションについては約75%が「特に問題ない」と回答するなど、スムーズに意思疎通ができ、合理的に仕事が進められる傾向が伺えました。
一方、問題点としては「ブレインストーミングなど発散型会議がやりにくい」「ちょっとした頼みごとがしづらい」など、想定されたデメリットが改めて浮かび上がりました。このような問題に対しては先ほどご紹介した社長ラジオをはじめ、Web会議を活用した1on1やグループミーティング、チャットツールの活用を推進することで今後、解決に向けて取り組んでいきます。

在宅勤務中の従業員を対象に、コミュニケーションや生産性の変化についてのアンケートを実施。その結果を、出現頻度が高い単語を文字の大きさで図示するワードクラウドで可視化した図。「雑談」や「運動」といたワードも。

また、生産性の変化に関しては、90%を超える従業員が「以前より生産性が向上した」と回答。「通勤時間や打ち合わせ時間が無くなり、時間的・体力的余裕ができて生産性が向上した」「空いた時間を自主学習の時間に充てることができる」といった効果を従業員が実感しています。

最後に、これまで3年以上に渡り取り組んできたテレワーク導入によって得た「テレワーク成功の3つのカギ」について、山中氏はこのように総括します。

山中氏:「まず1つ目に、どの部署で、どのポジションの、誰が、『テレワークを現時点で無理なく導入できるorできないを洗い出す棚卸作業』が重要です。その結果を踏まえて少しずつでもテレワーク導入を前へ推進していくために2つ目として『経営陣がBPC対策などを見据え、強い意志を持って決断する』こと、3つ目に『全社横断的なプロジェクトチームを編成することで、多くの部署・従業員を巻き込む』ことを、地道に継続することが重要だと実感しています」

今後もラックでは全従業員のテレワーク定着化へ向けて、これまでの施策を継続していきます。

株式会社ラック

東京都
所在地 東京都
業種 情報サービス業
企業規模 1000~4999名
URL https://www.lac.co.jp/

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